
業務用エアコンをフル稼働させた月の電気代請求書を開いて、思わず二度見してしまった店舗・事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
業務用エアコンの電気代は、家庭用と比べて桁が変わるため、何を基準に、高い・安いを判断すればよいのか分かりにくいものです。
そこでこの記事では、馬力別の消費電力の目安から、旧機種と最新機種の電気代差、そして日々の運用で抑えられる工夫までを解説します。
業務用エアコンの電気代が高いと感じる原因

業務用エアコンの電気代がなぜ高くなりやすいのか、原因から確認していきましょう。
家庭用と業務用で消費電力の桁が変わる理由
業務用エアコンの消費電力が家庭用より大きくなるのは、対応する空間の広さと熱負荷が違うためです。
家庭用エアコンは6畳〜20畳程度の個室を想定していますが、業務用エアコンは店舗のフロアや事務所、工場の一角といった、天井が高く人の出入りも多い空間を冷暖房するため、家庭用エアコンより、多くの冷暖房能力が必要になります。
家庭用の主力クラスのパワーが1~1.5馬力(2〜4kW)程度であるのに対し、業務用は2~10馬力(約5.6kW~28kW)以上までと幅広く、消費電力が数倍から十数倍も違います。
したがって、家庭用エアコンの感覚で電気代を見積もると、実際の請求額との差に戸惑うことになるのです。
電気代を把握していないと起きるリスク
電気代の急な増加は、機器の経年劣化や冷媒不足といった不調のサインが原因となることもあります。
もし普段の電気代を把握していなければ、こうした異変に気づくのが遅れ、機器の大きな故障や電気代の浪費につながる可能性があります。
また複数台の機器を運用している事業所では、どの機種が電気代を押し上げているのかが分からないままだと、更新の優先順位を正しく判断できません。
したがって、月々の電気代を機器ごと・時期ごとに把握しておくことが、無駄なコストと突発的なトラブルの両方を防ぐ事につながります。
馬力別の消費電力と月額電気代の目安

具体的な数字がないと、自社の電気代が高いのか妥当なのか判断しにくいものです。
ここでは馬力別の消費電力と電気代の目安を解説します。
2馬力〜10馬力クラスの消費電力と月額試算の考え方
電気代は「消費電力(kW)×稼働時間(h)×電力単価(円/kWh)×台数」で概算できます。
以下に馬力別の消費電力と、電力単価を1kWhあたり27円(業務用電力の一般的な水準)とした場合の1時間あたりの電気代目安をまとめましたので、ご覧ください。
| 馬力 | 消費電力の目安 | 1時間あたりの電気代目安 |
|---|---|---|
| 2馬力 | 約5.6kW | 約150円 |
| 3馬力 | 約8.4kW | 約230円 |
| 5馬力 | 約14.0kW | 約380円 |
| 8馬力 | 約22.4kW | 約600円 |
| 10馬力 | 約28.0kW | 約760円 |
月額に換算する際は、この1時間あたりの目安に、実際の稼働時間と稼働日数を掛け合わせることで、おおよその金額をつかむことができます。
業種別の稼働時間が年間電気代を左右する
同じ馬力・同じ計算式でも、業種によって稼働時間が異なるため、年間の電気代には差が生まれます。
飲食店や小売店は営業時間中ずっと稼働させることが多く、1日あたりの運転時間が10時間を超えるケースも珍しくありません。
一方、事務所は日中の勤務時間帯のみの稼働が中心となり、飲食店より運転時間は短くなる傾向があります。
また24時間稼働する工場や倉庫では、季節を問わず空調管理が必要な場合もあり、年間を通じた電気代の負担が大きくなりやすいのです。
自社の電気代を評価する際は、馬力だけでなく、こうした業種特有の稼働パターンを踏まえたうえで比較することが欠かせません。
冷房・暖房モードによる消費電力の違い
業務用エアコンは、暖房運転のほうが冷房運転より電気代がかさみやすくなっています。
これは外気温が低いほどヒートポンプの効率が下がり、設定温度に到達させるためにより多くの電力が必要になるためです。
特に真冬の朝など、外気温と設定温度の差が大きい時間帯は、消費電力が一時的に跳ね上がることがあります。
そのため冬場の電気代が夏場より高いと感じる場合、運転モードによる消費電力の違いが影響している可能性があるでしょう。
旧機種と最新省エネ機の電気代比較

電気代の負担を根本的に見直すなら、エアコンの省エネ性能に目を向けることも欠かせません。
ここでは旧機種と最新機種の違いを整理します。
APFで見る新旧機種の電気代差
APF(通年エネルギー消費効率)とは、1年間を通じて必要な冷暖房能力を、同じ期間に消費した電力量で割った指標です。
数値が大きいほど、少ない電力で同じ冷暖房効果を得られる省エネ機種であることを示します。
業務用エアコンのAPFは年々改善が進んでおり、10年以上前の主力機種と現行の省エネモデルとでは、同じ馬力クラスでも消費電力量に一定の差が生まれます。
参考として、家庭用エアコン(8畳用・年間稼働時間1,600時間・電力単価27円/kWhの条件)でのシミュレーション事例では、10年前の機種と最新機種とで、年間の電気代に1万円以上の差になることもあるほどです。
家庭用エアコンの電気代について詳しくは「エアコンの電気代を節約するコツ!つけっぱなしとこまめに消すのはどっちが得?」をご覧ください。
業務用エアコンは家庭用より馬力が大きく、稼働時間も長い傾向にあるため、同様の考え方に基づくと、この差はさらに拡大する可能性があるでしょう。
ただし、この数値はあくまで家庭用機種を対象にした試算であり、業務用エアコンにそのまま当てはめられるものではありません。
正確な金額を知りたい場合は、現在お使いの機種の消費電力(カタログや銘板に記載)と、候補となる最新機種の消費電力を実際に比較することが確実です。
省エネ機への更新で投資回収が見込める年数の計算方法
更新の判断材料としてよく使われるのが、投資回収年数という考え方です。
これは「本体価格と工事費の合計÷年間の電気代削減額」で算出でき、この年数が機器の想定使用年数より短ければ、更新のメリットが大きいと判断できます。
稼働時間が長い店舗や、複数台を同時に更新するケースでは、電気代の削減額が大きくなりやすいため、回収年数も短くなる傾向にあります。
一方、稼働時間が短い事務所などでは回収に時間がかかることもあるため、更新のタイミングは電気代だけでなく、機器の経年劣化の状況もあわせて検討するとよいでしょう。
電気代を抑える運用上の工夫

機器を更新しなくても、日々の運用を見直すことで電気代を抑えられる部分があります。
ここでは今すぐ実践できる工夫を紹介します。
設定温度と風量の調整で変わる消費電力の目安
冷房の設定温度を1度上げる、または暖房の設定温度を1度下げるだけでも、消費電力の削減につながります。
設定温度の具体的な目安や、快適性を保ちながら節電する工夫については「エアコンの設定温度に正解はある?夏28℃の誤解と効率よく冷やす工夫」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
また風量については、自動運転に任せたほうが、立ち上がり時のフルパワー運転を短時間で終えられるため、風量を弱に固定し続けるよりも効率的な場合があります。
定期的なフィルター点検
フィルターにほこりが詰まると、空気の通り道が狭くなり、設定温度に到達させるためにより多くの電力が必要になります。
業務用エアコンは稼働時間が長い分、家庭用よりもフィルターの汚れが蓄積しやすい環境にあるといえるでしょう。
定期的な点検を行い、目詰まりが見られたら早めに対応することが、電気代の上昇を防ぐのに役立ちます。
複数台運用で効率を高める稼働パターンの考え方
複数台の業務用エアコンを設置している場合、稼働のさせ方次第で全体の電気代を抑えられることがあります。
例えば、フロア全体を一律の設定温度で稼働させるのではなく、人の出入りが多いエリアと少ないエリアで運転を分けることで、無駄な稼働を減らせます。
また、契約電力の上限に近づくと基本料金が上がる契約形態の場合、複数台を同時にフル稼働させるタイミングを分散させることも、コスト管理の観点から有効な工夫です。
省エネ機への更新は電気代とあわせて検討を

電気代を抑える工夫を一通り見てきましたが、最後に更新を検討する際に押さえておきたいポイントを確認しましょう。
省エネ性能の高い業務用エアコンへの更新には、国や関連団体の補助金制度を活用できる場合があります。
補助金の対象制度や申請時の注意点については「業務用エアコンに使える補助金と申請のポイント」で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
更新を検討する際は、現地調査によって現状の消費電力や配線状況を正確に把握してもらうことが欠かせません。
中日設備では、現地調査をご注文の有無にかかわらず無料で承っております。
また複数台をまとめて更新する場合は、同時施工によって工事費を抑えられる可能性もあるため、見積もり時にあわせてご相談ください。
エアコン本体や交換部品の在庫もしっかり確保しておりますので、急な故障や繁忙期のご相談でも、スムーズな対応が可能です。
愛知県の住宅事情や店舗事情に精通した知見を活かし、業務用エアコンの販売・取り付けを通じてお客様の電気代の悩みに寄り添った提案をいたします。
地域密着の迅速なフットワークと安心の施工で、電気代の負担を抑えながら快適な空間づくりをお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。


